先日大英図書館で行われた猿八座による古浄瑠璃を見に行ってまいりました。 ロンドンにいるとこの手の日本の伝統芸能を見る機会がちょくちょくあります。 友達に誘われて軽い気持ちで見に行ったら、その脚本は日本では原本が失われていてロンドンで見つかったという非常に価値のあるものでありました。 鳥羽先生という古浄瑠璃を研究されている方がいらしてどのように発見されたかとお話ししてくださったのですが、この先生、ドナルド・キーン先生に勧められて、ケンブリッジで教鞭をとるためにイギリスにいらっしゃったついでに寄ったロンドンで、ロンドン大学の先生から「これがなんだかわからないので、見て欲しいものがある」と見せられたのが、江戸時代にドイツ人が持ち帰り、めぐりめぐって大英図書館に来たもので、日本には原本が存在しない『弘知法印御伝記』というものであったそうで、古浄瑠璃に関しては全て頭に入っている鳥羽先生もご存知ではなかったそうです。 というのが55年前。 そしてこの度、大英図書館で上演の運びとなったわけです。 ロマンを感じますね〜。 こういう話、大好き。 さらに、この鳥羽先生に訪英を勧めたドナルド・キーン先生も会場にいらしてお話をしてくださいました。 55年前にイギリスにいらした鳥羽先生はそれなりのお歳ですが、当時の若き鳥羽先生に訪英を勧められたということは、ドナルド・キーン先生もはそれよりさらにお歳のはず、と思っていたら95歳ということでした。 それも感動。 非常に貴重な体験をさせていただいたという気持ちです。